一、はじめに
「鬼」という言葉を聞いたら、中國(guó)人にとって、幽霊や怪物などを想像し、厳しく恐い感じをくれる。それに対し、日本人の友達(dá)に言うと、皆「お化け」、「このような形をしている」と言いながら、恐くなさそうに鬼の様子を描いている?!腹怼工趣いρ匀~は中國(guó)で意味する?yún)gなる邪悪な存在と違い、善にもなりうるということは筆者をびっくりさせた。とうてい日本文化における「鬼」はどんなイメージを日本人に與えるか。中國(guó)の「鬼」文化との相違點(diǎn)は何であろうか。本稿では日本文化の學(xué)習(xí)において、言語(yǔ)の立場(chǎng)から、ひいては中日の慣用句を中心にして両國(guó)の「鬼」の相異點(diǎn)の研究を試みたと思う。
二、日本語(yǔ)の「鬼」
『広辭苑』(新村出、巖波書(shū)店、1998)を引いて、以下のように「鬼」の意味が解説してある。
1天つ神に対して、地上などの悪神、邪神。
2伝説上の山男、巨人や異種族の者。
3死者の霊魂、亡霊。
4恐ろしい形をして人にたたりをすする怪物。
5想像上の怪物。
仏教の影響で、餓鬼、地獄の青鬼·赤鬼があり、美男子·美女に化け、音楽·雙六·詩(shī)歌などに優(yōu)れたものとして人間世界に現(xiàn)れる。後に陰陽(yáng)道の影響で、人身に、牛の角や虎の歯を持ち、裸で虎ののふんどしをしめた形を取る。怪力で性質(zhì)は荒い。
6鬼のような人
ア非常に勇猛な人。
イ無(wú)慈悲な人。借金取り。債鬼。
ウある事に精魂を傾ける人。「仕事の鬼」。
エ鬼ごっこなどで、人をつかまえる役。
7貴人の飲食物の毒見(jiàn)役。おにやく。
8紋所の名。鬼の形をかたどる。めんおに。かたおに。
9名詞に冠して、勇猛·無(wú)慈悲·異形·巨大の意を表す語(yǔ)。
以上の説明から日本の「鬼」の意義を大まかにまとめてみると、1―5は想像上や伝説などの具體的現(xiàn)象である。5項(xiàng)から、日本人がどうしてその固定的な印象に根ざしたかという問(wèn)題が分かる。6は人間の性格や精神的面に関する意義で、比喩的な意味を持っている。7は一種の役である。8蕓術(shù)での専門語(yǔ)で、9は接頭語(yǔ)として使われる。
『広辭苑』と『新日漢成語(yǔ)諺語(yǔ)辭典』に載せた黒い字體で印刷された重要な慣用句だけでも21個(gè)ある。大部分の慣用句は事物や人生の道理を説明するために、鬼の本義を借用し、隠喩の手法で作成されるものである。筆者は次のように分類しておく。
1.學(xué)蕓·技能·知識(shí)を表す
(1)鬼の金棒: 如虎添翼
2.情·人間関係·禮儀·縁
(2)鬼の目にも涙 惻隱之心,人皆有之
(3)鬼も十八、番茶も出花 女大十八變
(4)鬼が仏に早変わり 菩薩面夜叉心
(5)鬼にもなれば、仏にもなる 有禮笑臉迎,無(wú)禮冷眼看
(6)鬼の空念仏 魔鬼念佛假慈悲
(7)鬼瓦にも化粧 佛要金裝,人要衣裝
(8)鬼も居ぬ間に洗濯 閻王不在家,小鬼樂(lè)開(kāi)花
(9)鬼が住むか蛇が住むか 人心莫測(cè)
3.行動(dòng)
(10)鬼を酢にして食う 無(wú)所畏懼
(11)心を鬼にする 下狠心
(12)鬼が笑う 笑可笑之事
(13)鬼の餌食を餓鬼が取る 莫道君行早,更有早行人
(14)鬼の棒にも當(dāng)たってみよ 雖難當(dāng)再試,會(huì)有成功時(shí)
(15)鬼の首を取ったよう 欣喜若狂,如建奇功
4.人生の浮沈·運(yùn)·不運(yùn)
(16)鬼が出るか仏が出るか 前途未卜
(17)鬼の霍亂 壯漢也有病倒時(shí)
(18)鬼に千振醜女に唐子 愁眉苦臉
5.自己省察·素養(yǎng)
(19)鬼も角折る 浪子回頭金不換
(20)鬼の閉てたる石の戸も情にあく 縱使惡鬼關(guān)石門,精誠(chéng)所至亦能開(kāi)
(21)鬼の目にも見(jiàn)殘し 智者千慮,必有一失
以上の「鬼」につく慣用句は、社會(huì)や人生や素養(yǎng)などの面に觸れ、ユーモアさが溢れる言葉である。気がついたのは、その慣用句の中身である。人性の悪に反省すること、社會(huì)の不正に反対する意見(jiàn)、運(yùn)命の不幸に風(fēng)刺するなどはまるで針のように鋭い。「鬼」という姿は単に人身に、牛の角や虎の歯を持ち、裸で虎の皮のふんどしをしめた形を取るものではないが、面白くて、親しみの感じも持っている。特に、面倒くさいことにあった時(shí)、或いはおかしい場(chǎng)面においたら、「鬼」についての慣用句を語(yǔ)って人間関係が円滑し、和やかな雰囲気になりやすいと思う。だから、日本人が平然に「鬼」ということは當(dāng)たり前のことではないであろうか。
三、中國(guó)語(yǔ)の「鬼」
現(xiàn)代中國(guó)語(yǔ)の「鬼」の意味は大きな変化している?!盒氯諠h成語(yǔ)諺語(yǔ)辭典』に載せた9項(xiàng)の意味はこのように書(shū)いている。
1霊魂、お化け。
2人を軽蔑かないやつ。
3こそこそしている、後ろ暗い、何かたくらみがある。
4陰険な、腹黒い。
5ひどい、劣悪な、嫌悪感を持つ。
6機(jī)転が効く。
7ごまかし、秘密、いんちき。
8二十八宿の一つ。
9完全な否定を表す。(方言)
以上から分かるように、1は伝説上などの言い方である。2と5は人にからかう言葉で、347は陰険なことを表す。6は頭がよく、臨機(jī)応変を心得ている人を形容する。9は方言で、あまりよく使われる言葉とは言わない?!豪庵袊?guó)語(yǔ)慣用句辭典』に出てくる「鬼」で用いられる慣用句は文脈から理解し、意味をどの面に重點(diǎn)を置くかは様々である。
1.幽霊、お化け
(1)鬼門關(guān):地獄の入り口、恐ろしい場(chǎng)所のたとえ。
(2)鬼曉得:幽霊しか知らない。理解し難しい、見(jiàn)分けにくいたとえ。
2.人に軽蔑し、事物にいやな感じをもつ
(3)鬼呲牙:鬼が歯を見(jiàn)せる。非常に寒い形容。
(4)鬼門關(guān):過(guò)ごしにくい時(shí)間のたとえ。
3.人の後ろに暗い、何か企みがある様子
(5)鬼八卦:悪知恵·悪巧み
(6)鬼把戲:ア人を騙すからくり、いんちき。
イ陰険な手段または詭計(jì)のたとえ。
(7)鬼吹燈:陰で、破壊活動(dòng)を行う。陰で悪知恵を働かすたとえ。
(8)鬼迷心竅:悪魔が心の中に入り込む。ふと悪い考えを起こすたとえ
(9)鬼名堂:よくない企て、からくり、卑劣な手口。
(10)鬼算盤:ずるい打算のたとえ。
4.機(jī)転が効く
(11)鬼點(diǎn)子:とっぴな知恵、機(jī)転を利いた考えのたとえ。
(12)鬼過(guò)場(chǎng):臨機(jī)応変なやり方、詭計(jì)。
5.方言、完全な否定を表す
(13)鬼曉得:誰(shuí)も知らない。
従って、中國(guó)人が理解している「鬼」は主に「秘密に、陰険な」、「嫌悪感」などのマイナス的な意味が多い。ただ、4項(xiàng)はプラス的な意味を含め、他の語(yǔ)と組み合わせると「調(diào)皮鬼·機(jī)霊鬼」のような言葉は可愛(ài)がっているように気がする。それに、中國(guó)語(yǔ)の「鬼」は人の行為を心理活動(dòng)に隠喩し、ずるく、陰険なイメージをくれる。
四、「鬼が恐い」と「可愛(ài)い鬼」
日本の「鬼」は主に無(wú)慈悲で、勇猛な人を比喩する。中國(guó)の「鬼」は秘密に、陰険な事物を形容する?!腹恧文郡摔鉀妗工趣いT用句があるが、これは鬼のような殘酷で無(wú)慈悲なものでも、時(shí)には悲しみのために、涙を浮かべると言う。もし、中國(guó)語(yǔ)に翻訳すれば「鐵石心腸也流淚」である?!腹怼工取甘工芜`いははっきり見(jiàn)えるが、両者に反映する二つの考え方は中日文化にとって大切だと考える。
慣用句から見(jiàn)る日本の「鬼」は自然の一員として、喜怒哀楽をもって、技能も備える。
それに、日本に伝來(lái)した鬼は民間伝承や昔話の中で、単に邪悪な存在だけではなく、苦しんだ村人を助けたり、病気や禍いを防ぎ、秋田県のナマバゲのように邪霊を追い払い、人を大丈夫にしてくれたりする福の神のような存在になり、多彩鬼のイメージが生まれた。そして、日本文化には、「鬼」が人にからかうという意味合いは薄いが、あることに精魂を傾け、精力を集中するのは強(qiáng)調(diào)する。日本の「鬼」は自然との切れる切れない関係がある。日本人の自然観は山川、草木、人と神と組み合わせる世界で、「萬(wàn)物は魂がある」のような世界である。だから、いつも力及ぶ所限り自然に優(yōu)しく保護(hù)し、自然との和やかな雰囲気を守るために頑張っている?!腹怼工摔丹à庥Hしみが感じられるようである。
中國(guó)の「鬼」は人間の悪習(xí)と弱さを映るために想像するもので、大部分の使い方はマイナス的な色に染められる。例えば、前に分析したのは、中國(guó)語(yǔ)の意味の2·3·5は日本語(yǔ)の6のイと同じ色彩で、つまり、軽蔑的に無(wú)情に陰険な性格や態(tài)度を表す。中國(guó)は古代から政治生活を重んじ、「鬼」はほとんど不運(yùn)や邪気を避けるために使われる。皆知っているように、大晦日、玄関に門の神(鐘馗)の姿が貼ってある風(fēng)俗がある。それは鬼を追い払いて、來(lái)年の幸運(yùn)を祈る意味を象徴する。慣用句に現(xiàn)る「鬼」の意味は、このような傾向を持っている。それゆえ、中國(guó)の鬼は神秘的に、怖がっている感じを中國(guó)人にもたらす。
五、終わりに
中國(guó)は日本とともに、「鬼」という概念を持っている。同じ漢字を使っているが、「鬼」に対するイメージは大変異なる。本稿は、両國(guó)の慣用句から「鬼」に含む感情と生まれる原因を分析してきた。日本の「鬼」と中國(guó)の「鬼」に遡るが、同一の字源から生まれる。(『説文·鬼部』「鬼,人所歸為鬼。從人,像鬼頭。鬼陰氣賊害」)また、霊魂·幽霊を表す。しかし、文化変遷に従って、中國(guó)語(yǔ)の「鬼」は心理現(xiàn)象の方に変わってきた。日本語(yǔ)の「鬼」は、世間の様々な面に滲み込んで、ユーモア的な言葉で浮世の暗黒を風(fēng)刺する機(jī)能がある。
また、両方の関係にいてであるが、中國(guó)の「鬼」は機(jī)敏な、臨機(jī)応変なやり方という意味合いがあるのに対し、日本の「鬼」は精魂を傾け、精力を集中するものである。これは、異曲同工の微妙ではないか。
中日の「鬼」についての対照はまだたくさんのところを研究しようと思う。これから、「鬼」にまつわる神話、童話についての考察を試みたい。
參考文獻(xiàn)
[1]『広辭苑』 巖波書(shū)店 新村出編集 1998年
[2]『日本諺物語(yǔ)』 雄山閣 針原孝之 1995年
[3]『新日漢成語(yǔ)諺語(yǔ)辭典』 上海訳林出版社 王永生 2002年
[4]『現(xiàn)代漢日辭海』 北京大學(xué)出版社 大東文化大學(xué) 1993年
作者簡(jiǎn)介
楊雪(1983.10—),女,漢族,吉林長(zhǎng)春人,講師,碩士,主要從事日語(yǔ)語(yǔ)言文學(xué)研究
(作者單位:大連交通大學(xué)外國(guó)語(yǔ)學(xué)院日語(yǔ)系)