森鴎外漢文化學(xué)習(xí)についての研究

楊麗英

（凱里學(xué)院，貴州 凱里556011）

1 はじめに

森鴎外は自らが専門とした文學(xué)·醫(yī)學(xué)、両分野において論爭が絶えない人物であった。文學(xué)においては理想や理念など主観的なものを描くべきだとする理想主義を揚(yáng)げる。また醫(yī)學(xué)においては近代の西洋醫(yī)學(xué)を旨とし、和漢方醫(yī)と激烈な論爭を繰り広げたこともある。和漢方醫(yī)が七割以上を占めていた當(dāng)時(shí)の醫(yī)學(xué)界は、ドイツ醫(yī)學(xué)界のような學(xué)問において業(yè)績を上げた學(xué)者に不遇であり、日本の醫(yī)學(xué)の進(jìn)歩を妨げている、大卒の醫(yī)者を増やすべくだ、などと批判する。

『舞姫』は、明治二十三年一月に、森鴎外の処女作として「國民の友」に発表されて以來、主題をめぐって、作者自身によるものを含め様々な議論がなされてきているが、戀愛と出世、國家·家と個(gè)人という対立における自我の目覚めと挫折の物語であるというのが大勢である。

『舞姫』の文語體から見ると言文一致を用いたものの、漢文化の影響で雅語を用いている作品だと思われる。それはなぜであろうか。ここでは、その原因を明らかにするため、森鴎外の漢文化學(xué)習(xí)について研究しようとしている。

2 社會原因

小學(xué)校が生まれるのはのちの明治五年であり、この時(shí)代の學(xué)問の本、醫(yī)學(xué)の本などはすべてが漢文で書かれていたので、津和野藩の御典醫(yī)の家に生まれた森鴎外は、醫(yī)學(xué)の本を読めるように、漢籍の本を読まなければならない。和漢方醫(yī)が七割以上を占めていた當(dāng)時(shí)の醫(yī)學(xué)界に、お醫(yī)者さんになるつもりの人は、漢籍の本を読めるために、漢文化の教育を受けなけらばならない。學(xué)問を増やすためにも、漢籍の本を読まなければならない。明治初期にいる森鴎外は、學(xué)問を増やすためと醫(yī)學(xué)の本を読めるため、漢文化の教育を受けなけらばならない。漢籍の學(xué)問の本といえる代表的な古典漢籍の本は『孟子』、『四書』、『五経』、『左伝』、『國語』、『史記』、『漢書』などである。これらの本は儒學(xué)の思想を體現(xiàn)することができる本も言える。だから、これらの本を?qū)Wんだ森鴎外は、家庭の長男としての責(zé)任と家を興す使命感も強(qiáng)くなりつつある。

明治前期のエリート青年達(dá)は、日本近代國家を建設(shè)することを宿命づけられていた。明治初期にいる森鴎外はその宿命も逃げられず、日本近代國家を建設(shè)するため、できるだけ自分の力を盡くすことは自分の使命として頑張らなければならない。それとも、よく勉強(qiáng)することは、立身出世の手形であり、家を興す機(jī)會でもあった。森鴎外は一家の大きな期待と責(zé)任の重圧を背負(fù)って、エリートのコースを歩かなければならない。明治前期のエリート青年になるため、漢籍の本を読まなければならない。森家のエゴイズムとしての森鴎外は、家を興す使命を背負(fù)って、大切に立派に育ってようという気持ちがあって、祖母は鴎外の學(xué)習(xí)に熱心して、毎日に送れたり迎えたりにしている。森鴎外はエリートのコースに向かって、毎日惰らずに勤勉して、小さいから漢籍を?qū)Wんで、東京大學(xué)醫(yī)學(xué)部に入って、ドイツの留學(xué)を通して、最終立派な明治エリート青年になった。森鴎外の生涯はそれほど輝かしい栄光につつまれていた。

3 家庭原因

森鴎外は文久二年（一八六二年）に島根県の津和野で生まれている。本名は森林太郎、家は代々津和野藩主の典醫(yī)である。鴎外の誕生のありさまを鴎外の妹小金井喜美子はその著『森鴎外の系族』の中で、次のように述べている。

「その正月十九日に、母君産の気つき給ひ、健やかなる男の子を生み給ふ。これぞ我が兄君なる。神棚に燈明かがやき、祖母君涙さへ落として喜び給ふ。亡き人の旅の日記にも初孫の顔見んことを楽しむなど、幾だびか記し給ひつれば、これやがて祖父君の生まれかわり給へるようなど云ひつつ家の人々やうやく愁いの眉すこし開きつ。いかで此ちご、よく生したててと誰も誰も思ふ。

母となり給ひてもまだうち若くましませば、祖母君むねと引受けて育て給ひぬ。男の子の初児とて、あつかひいとむつかしく、夜啼きなどをするを、夜も寢ずと云ふさまにて心づかひし給ふ。其頃往みける津和野川のほとり、常盤橋のたもとなる中島と云ふ所を知りたる人、夜ふけて通りかかれるに、ともし火あかあかとしての打騒ぐけはひす。急病の人もやと立寄りて音なへば、幼なき児をあやすざわめきなりしかば、その事々しさに驚き笑ひて、人にも語りぬとぞ。」

森家の久々の長男鴎外は、祖父網(wǎng)浄の生まれかわりという祖母清子の涙を始め、一家の期待を一身になって生まれた。誰の心にも、この長男を大切に立派に育てようという気持ちがあって、夜も寢ずの大騒ぎとなって、だいじにだいじに育てられ、知らず知らず森家のエゴイズムは森鴎外の身にくいいることになった。生まれるやいなや、鴎外の背には大きな期待と責(zé)任の重荷がかかっていた。

森鴎外は、家を興すため、慶応三年、六歳になると津和野藩の儒者村田久兵衛(wèi)について、漢籍の手ほどきを受け『論語』を?qū)Wんだ。七歳になると、やはり藩の儒者米原綱善について『孟子』を?qū)Wんだ。明治二年、八歳の鴎外は、津和野の藩校養(yǎng)老館に入學(xué)し、その俊秀ぶりをいかんなく発揮した。一年目は『四書』を、二年目は『五経』、三年目には『左伝』、『國語』、『史記』、『漢書』などを?qū)Wんだ。

一家の大きな期待と責(zé)任の重圧がかかっていた森鴎外は、家の大切に立派に育っていた。明治初期の立派なエリート青年になった。森鴎外の育たれたエリートコースは漢文化の儒家思想と一致になっているのではないであろうか。

4 おわりに

以上からみると、森鴎外の漢文化の學(xué)習(xí)は社會と家庭の影響を受けたことが明らかにした。名作『舞姫』は、漢文化をよく勉強(qiáng)した森鴎外を書いた小説だから、文章の文語體は漢文とよく似ていることとラブストーリのあらすじも儒學(xué)の立身出世思想と一致して、功名のため戀人を捨てる物語と同じような結(jié)果を見える。今後、漢文化は『舞姫』のあらすじに対しての影響を研究したいと思う。

［1］小泉浩一郎.森鷗外集[M].巖波書店,2004：3-32.

［2］小金井喜美子.森鷗外の系族[M].巖波書店,2001：43－45.

［3］福田清人.森鷗外『人と作品」』[M].清水書院,1982：16-19.

［4］井上靖.『明治の古典8』[M].株式會社學(xué)習(xí)研究社,1982：165.